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創春館新聞 「さんぽみち」

 さんぽみち4月号

さんぽみち4月号もくじ

・あかしあの里、合同園遊会開催!

・事業所便り

・吾輩はジータである

・院長先生の健康豆知識

・今月の行事予定

・文芸作品

・編集後記

 

あかしあの里Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ 春の合同園遊会開催!

 あかしあの 里での春の 園遊会

        食べて歌って みんな満足

園遊会 5.JPG

 三月二十二日、あかしあの里Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ合同で、春の園遊会を行いました。あかしあの里三棟も皆様のお力添えで、それぞれ十周年を過ぎ、感謝の宴でもありました。当日は前日の強風が嘘のように春のうららかな晴天と暖かな気温に恵まれました。ⅠとⅡの間にあるウッドデッキに入居者と家族の方々が集まり、にわか麿と姫に化けたスタッフが迎え、最初に、代表でⅡのホーム長・木暮の挨拶に、たくさんの拍手が起こりました。中央のテーブルには、各棟で作ったごちそうが並び、まずはみんなで腹ごしらえです。お赤飯・焼きそば・豚汁・メロンや、ウッドデッキの端では焼きたてのバーベキューとたこ焼きで、皆様の空腹を満たしていきました。「美味しいね。」「次はあれが食べたい。」「お替りください。」と、日頃よりたくさん召し上がった様子です。ここで名倉院長も参加して、入居者の皆さんやご家族に声をかけてくださり、一段と明るく賑やかになってきました。

 食事がすむと、次はメインイベントの一つで、餅つきが行われました。皆さんに「よいしょ、よいしょ。」とかけ声を掛けていただき、院長先生を先頭に、男性スタッフが豪快に餅をついていきます。途中、かえし手と息が合わなかったり、臼の外をつきそうになったりと、笑いが起こりましたが、なんとか無事につき終わりました。つき上がったお餅はさっそくスタッフの手で丸められ、からみ餅やきな粉餅にして召し上がっていただきました。「さっき食べたのでお腹一杯だけど、餅は別腹だね。」「つきたては柔らかくて、おいしい。」と皆さんに喜んで食べていただきました。その後は、腹ごなしにカラオケ大会に移り、にぎやかに春の歌を唄いました。思い出の曲がかかると、身を乗り出し一緒に唄ってくださり、「今度はこの曲をかけて欲しい。」とリクエストしたり、拍手喝采で楽しんでいただいました。

園遊会あかしあの里.jpg

 最後に春の園遊会ですので、スタッフがそれぞれ和歌を作り、春の歌会として発表をし、院長先生に表彰をお願いしました。一首ずつ読みあげる和歌に、笑いあり拍手あり、歓声があがります。また匿名で発表しているにもかかわらず、院長先生に「これは○○さんが作ったね。」と当てられ、院長先生の慧眼に驚かされました。院長先生が一等・二等を選んで表彰してくださり、「みんな良くできている。」とお褒めの言葉をいただきました。たくさんの笑顔と満足で、春の園遊会は大成功に終わりました。次回も皆さんに楽しんでいただけるような、イベントを計画して開催していきます。

 

今月の事業所便り

 あかしあの里Ⅰ

 奇麗に変身出来ました~!

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   あかしあの里Ⅰでは、三月三日昼食より、ひなまつり会を行いました。利用者様は全員お寿司が好きなので、今回は一口サイズの手まり寿司を作りました。とても美味しそうに頬張り、おかわりをされニコニコ笑顔に!その後は、一人一人お雛様、お内裏様に扮していただき、手作りの冠に照れたり、「似合うね~」など互いの変身の話で花が咲きました。ひなあられや桜もちをいただきながら、一つの季時を終えた事に、日がたつのが早いね~と感慨深い日となりました。

 

 あかしあの里Ⅲ

大きなケーキでお誕生日会

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 三月十三日と十五日に、お誕生日会を行いました。八十三歳と九十四歳になられる方で、大きなケーキを前に花束を贈られ、感激ひとしおのご様子でした。他の入居者から「おめでとう。」「長生きしてください。」とお祝いのメッセージをおくられ、感激のあまり涙ぐむシーンもありました。また来年も元気にお祝いできるように、お世話していきたいです。

 

 わきあいあい

総合福祉センターで甘味三昧

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 三月七日、わきあいあいでは総合福祉センターへ甘味ツアーへ行ってきました。前橋市内の支援学校の展示販売を見学した後、「とらっぱ」で美味しいケーキと紅茶、コーヒーを召し上がりました。お茶の後、健康遊具を体験し、凸凹のある石の上を歩きました。職員が「痛くないですか?」と伺うと、「痛くないわよ!」と平気で歩いていることに、びっくりしました。短い時間でしたが、楽しい一時を過ごすことが出来ました。これからは、暖かくなり、外出する時間が増えると思いますので、楽しんでいただけるような行事を計画して行きたいと思います。

 

 療養棟3階

ひな祭り 思い出話に 花が咲き

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 療養棟三階では、三月三日に『雛祭り』を行いました。職員が持参したお雛様を飾り、利用者様と一緒に写真を撮りました。「綺麗なお雛様だね。」「珍しい色だね。」などの声をいただき、三時のおやつには甘酒を提供しました。ご自身の子供の頃の事を話して下さる利用者様もいらっしゃり、思い出話に花が咲きました。女の子のお祝いという事で、女性の利用者の皆さんに、少しでも幼少期の頃の事を思い出していただけていたら光栄でした。今後も利用者様の楽しみや興味の湧くイベントを考えていきたいと思います。

 

 DSゆめさき

みんなでクレープ作り

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 今月のおやつ作りはクレープを皆で作り、楽しもうではないかと考え、三月十四から十六日まで行いました。皆様クレープ作りなど、されたことがない方ばかりで、というより、そもそもクレープとはどういうものかも分からない方ばかりだったので、説明から大変な状態でした。似たようなもので、小麦粉を練ったものとかありますが、馴染みがないものなのでクレープと言われてもピンと来ないような食材です。でもゆめさきに通われている皆様方は、応用が利く方ばかりなので、説明して作っているうちに、段々と慣れていき、クレープ作りを進めていきました。最終日の十六日には、男性の方ばかりで包丁を使っていただいたり盛り付けをしていただいたりと、皆様一生懸命に作り、楽しまれていました。

 

 療養棟2階

ロマンチックな雛祭り

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 三月三日はひな祭り! ということで、療養棟二階では六日にイベントとしてひな祭りを行いました。ひな壇を飾り、まずは皆さんと一緒に「うれしいひな祭り」の歌を合唱。その後は、おひな様と一緒に写真を撮りました。女性の皆さん桃の花を持ってうれしそう。ひな祭りは女性のお祭りですが、男性の方も笑顔で一緒に写真に写ってくれました。「おだいり様がおひな様の顔を見ているようで素敵ね」なんてロマンチックなお話も聞こえてきて、その後は、皆で三色ゼリーと甘酒を飲んでゆっくり過ごすことができました。

 

 ケアセンター朱咲

今日は楽しいお買い物

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 朱咲では「買い物レク」として、しまむらに衣料品を買いに行きました。買い物慣れをしている方も、久しぶりの買い物の方も、何を買おうかあれやこれやと迷っていました。そうして選んだ品は、しっかりとご自分で会計をし、満足そうに袋をぶら下げたり抱える姿もあり、皆様買い物を楽しまれたようです。中には買い物に火がついてしまう方も…。今回の買い物レクでは、利用者様の普段とは違う一面が見れたり、新しい発見もできました。ご自分で物を選ぶという大切さを改めて実感しました。

 

 春らんらん

車椅子ダンスってすごい!

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 三月二十三日(土)、春らんらんへ車椅子ダンスの慰問の方々が来てくださいました。華麗な衣装で登場されると、利用者様の目は早くもくぎ付けに。最初に全員で準備体操を行ってから、いろいろな曲に合わせて、見事に舞う車椅子ダンスを堪能しました。利用者様は、曲に合わせて自然に体が反応していくようで、途中、踊り方を丁寧に教えていただき、皆で手に手を取り合って、楽しく踊ることができました。最後には、皆で記念写真を撮り、身体も心もみんな元気になれた一日でした。

 

 GHゆめさき

満開の箕郷梅林、春爛漫

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 グループホームゆめさきでは、三月二十八日、春らしい陽気の中、箕郷の梅林に行ってきました。移動中の車窓から見えた景色は、桜を始め色とりどりの花々が、道々に彩りを添えていて、私達の目を楽しませてくれました。梅林の梅は、今が満開とばかり見事な梅の花を一面に付けていました。穏やかな春の陽気の中、花を見ながら食べた手作りのお弁当は、また格別で、職員をはじめ入居者さんもいつもより沢山食べてお腹一杯!目にもお腹にも嬉しい一日となりました。また、季節に合った楽しいイベントを考えていきたいです。

 

 涼風の家

 三味線と 歌声響く 慰問の会

     みんな感動 涼風の家

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「ハァ~ドッコイショ~ドッコイショ~♪」涼風の家に、地元の民謡愛好会の皆様が慰問に来て下さいました。生の三味線の音と、よく響く歌声に、入居者の皆様はもちろん、スタッフもとても楽しんでしまいました。歌ったり踊ったりした後は、愛好会の皆様と一緒にテーブルを囲み、お茶を楽しみました。

 

 しらさぎ

今日は美味しい?ひな祭り

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 三月三日、グループホームしらさぎでは、女の子の節句「雛祭り」を行いました。お内裏様とお雛様の手作りの羽織を着て、屏風の前で記念撮影♡。皆さん冠も良く似合い、手にはしっかりと扇子を持ち、ニッコリ笑顔でとても楽しそうでした。「お雛様」の歌も大きな声で歌っていただき、いよいよ入居者様全員が楽しみにしているお食事の時間になり、黒い御膳の中に彩り鮮やかに盛られた、ちらし寿司や茶わん蒸し、苺添えのヨーグルトに蛤のお吸い物を笑顔いっぱいで眺めて、「いただきます。」の掛け声とともに、皆さん一心不乱に召し上がっていました。食べている途中に料理の感想を聞くと皆さん「おいしいよ。」と答えて下さいました。お吸い物は、蛤の身もしっかり食べてあり、皆さんの器は(洗う必要もないくらい?)綺麗になっていました。皆さんまた来年も、お雛様御膳を食べたいとおっしゃって下さいました。

 

 クリニック通所リハビリ

上武国道!ここまで出来ています!

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 以前にもお話ししたことがありますが、クリニック通所リハビリでは、個別リハ時に屋外歩行練習を取り入れています。現在進行中の上武国道の工事現場横を通るコースもあり、その際には、どの利用者様も歩いている足を一瞬止めて、少年のような表情で工事作業に見入っています。お花畑などが、一変してトンネルや橋になっていく様子を真近に見られるクリニックでは、日々新しい発見や変化を見つけ、日本人の物作り技術の素晴しさに感動しながら、毎日のリハビリに励んでいます。

 

 通所リハビリ

職員の かくし芸?だよ ひな祭り

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 三月四日(月)一日遅れのひなまつりイベント、通所リハビリでは日頃の職員とちょっと違った一面を見ていただこうと職員余興を行ないました。出し物一番は、ハッピ姿の職員による「花笠音頭」。利用者様も一緒に踊りました。次は、間の取り方が絶妙な女性コンビによる「よもやま話」。続いて「マジック」この日のために、新人職員は寝る暇を惜しんで練習して来ました。トリは「安来節」、やす~き~めいぶつ~?の曲に合わせて、軽快にリズムをとり、笑いをさそっていました。余興ごとに利用者様に「お雛様」「お内裏様」に扮していただき、感想を伺いました。「みんな芸達者だね。」「良く笑ったよ。」「マジックをもう少し近くで見たかったよ。」「年甲斐もなく子供心に返してもらって嬉しかった。」等の声をいただきました。最後にみなさんと一緒に「うれしいひな祭り」を合唱し、おやつに甘酒を召し上がっていただきました。昔を懐かしみ、楽しい一時となりました。

 

   明 月 

花見の春!梅・梅・うどん!大満足!

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 明月では三月二十一日、梅見ドライブと外食に出かけました。昼食は地元伊香保の「水澤亭」で伊香保御膳を食べました。ある方は、毎日食べてもいいとの盛りうどん。特製ゴマだれがとてもおいしく、大満足の食事でした。しばし休憩の後、箕郷梅林へ。「あ~きれいだ~。早く車止めとくれ~。」と黄色い声を聞きながら、目的地の駐車場に到着しました。皆様方の日頃の行いのお陰で風ひとつなく、最高の花見になりました。記念撮影の後は全員で「ふるさと」を歌って思い出にしました。来月は桜を見に行きたいと思います。

 

みんなで和歌を作ってみました。

 冒頭の記事の紹介のように、あかしあの里では開設十周年を記念して園遊会が行われました。なかでも一番のイベントは、当法人では初の試み『春の歌会』での『和歌』の発表でした。それぞれの部署でいろいろと準備が大変だったと思いますが、一番の苦労は和歌を作ることではなかったでしょうか??その苦労の甲斐もあって、歌会はなかなか好評だったようです。

 春の園遊会の後、院長先生からちょっとした宿題が出されました。あかしあの里だけでなく、他の部署でも和歌を作って発表することになったのです。普段利用者の皆さんには、リハビリと称して俳句や川柳、和歌などたくさんの作品を作っていただいて、この「さんぽみち」でも発表させていただいていますが、なかなか自分達でつくることはありません。「さんぽみち」での投稿作品の常連の皆さんの努力と苦労、そして自分達の教養が無いことをあらためて知る機会となりました。どんな作品が出来上がったかは、来月号の紙面で発表したいと思います。ご期待下さい。

 

 

 

吾輩はジータである

   そしてまた貴方に恋している         東郷 彦四郎

    

 第27章 ロマンチックな旅③(サプライズな一日)

 

 中国縦貫道は、瀬戸内海と日本海を分かつ低い山々を縫って走り、田んぼと散在する家々を眺めるだけの単調な景色が続いた。山口県立図書館での真一のいたずら書きの話題の後、しばらく退屈な空気が漂ったのを察したのか、運転席の木暮氏が話しはじめた。

「ひょっとして真一さんの手紙はサプライズですかね?」

肥満のせいで細くなった目をさらに細くして笑いながら、弾んだ声で言った。「サプライズ?」十年以上前の当時、二十代の木暮氏を除いた他のメンバーにとっては、聞いた事のない言葉であった。

「いやあ、最近流行っている言葉でしてね、思いもかけない行動で、人を驚かし、喜ばせる事を言うんです。」と、得意気に話す彼の声を聞きながら、長年木暮氏と付き合ってきた上原は、これから彼が何を話したがっているかピンとひらめいた。何回か聞かされている彼のサプライズである。このサプライズは、若くてお気に入りの娘がいて、少し興奮している時しか話さない筈で、今のメンバーで乗り気な様子を不思議に思ったが、上原は誘い水をかけた。

「事務長は、確か、クリスマスイブに何かサプライズをやったんでしょう。」案の定、木暮氏の鼻がぴくぴくと動くのが感じられた。

「あの話ですか?」と勿体ぶって応えると、すかさず常木氏が、若い娘のような高いトーンで、「事務長、どんな話、聞きたいわ」、車内に旅行がもたらす熱気がフワーッと漂った。そんな熱気につられるように木暮氏はゆっくりと話し始めた。

「思い起こせば、あれは二年前のクリスマスイブの夜でした。赤城おろしの風が冷たく頬をなぜ、行き交う人はコートの襟を立てていました。場所は高崎市役所の前の通り、そこに私と彼女、今のカミさんがいました。イルミネーションがイブの夜を盛り立てるようにキラキラ輝き、その明かりの下で、子供たちがスケボーなんぞをやりながら騒いでおりました。」

「事務長の話し方、なんか寅さんそっくり」と常木氏が言うと、「姓は車、名は寅次郎、帝釈天の産湯を使い…」とすかさず上原が混ぜっかえし、車内大爆笑。「ごめん、ごめん事務長、続けて」の励ましに、

「じゃあ 寅さん風に。あの時私と彼女は同い年の二十五。若いですね。通りに並べられたベンチに腰をかけると、彼女と私の太服がそっと触れ、生温かい電流がビリビリと私の身体に伝わり、色とりどりのイルミネーションに照らし出された彼女のふっくらとした横顔が、天使のようにも、まばゆく見えたのでございます。」

「欲情してた?」と上原が突っ込むと、若やいだ女性陣の嬌声が涌き起った。事務長正面を見つつ、大きく身体をゆすりながら「大いに欲情してパンパンでした」と言うと、更に大爆笑

「ええと、どこまででしたっけ、ああ二人で坐っているところですね。二人して、イルミネーションがきれいだねと言っていたんでしょうか。話は上の空で、高鳴る胸をおさえながら、いつサプライズを切り出そうかとずっと考えていたのであります。『サンタがあんな風なイルミネーションの光の上を、ソリに乗って走っているシーンを見た事があるなあ。サンタも今は忙しいだろうなあ。ところで紀子、今年のサンタさんは紀子に何をくれるかな』と言ったのであります。」

「くさい演出だなあ」といつものように上原が合いの手を入れると、女性陣うふふと楽しそうな表情、「そう言いながら、小さな小箱を彼女の前に差し出しました。『あけてごらん』不思議そうに箱を開ける彼女、そこには指輪が入っていたのであります。

『結婚しよう』と力強く言うと、彼女は潤んだ瞳で『うん』とうなずいたのであります。これが私のサプライズでした。」楽しい木暮劇場に一同拍手をおくったのです。この後も、いかにして彼女に知られないように指輪のサイズを測ったかなどの苦心話が続き、車は山口市内へ入りました。

 目指す県立図書館は、パークロードと呼ばれる、県庁と市役所を結ぶ通りを少し入った所にありました。附近一帯は公園となっており、博物館や美術館なども木々に隠れるように立っていました。木々の緑にマッチした重厚な茶色のレンガ様外壁の図書館を入ると、目の前に受付カウンターがあり、二人の女性が坐っていた。上原が受付に歩み寄り、名札に飯野と書かれた女性に向かって言った。

「とても漠然とした話で申し訳ないのですが、太平洋戦争前の漢和辞典などは保管してあるのでしょうか?相当大きな漢和辞典だと思うのですが。」優しい目が眼鏡で強調された二十代後半と思われる女性が笑みを浮かべながら応えた。

「戦前の漢和辞典ですか?当館は戦争での焼失を免れたので、大きな有名な辞典なら倉庫に保管してあるかも知れません。しばらく時間がかかるかも知れませんが、調べてみますか?」

「時間がかかっても構いません。よろしくお願いします」と上原が応えた。彼女は、上原の後ろに立ち並ぶ不思議な男女一行に笑顔を送りながら、後ろのドアを開け、消えていった。受付前のソファーに二、三十分も待っていただろうか。ワゴンに十数冊の大きな古ぼけた辞書を積んで、彼女があらわれた。

大量の本の山にぽかんと途惑っている一行を見て、「右手まわって奥の突き当たりに資料室という部屋がありますから、どうぞその部屋をお使い下さい。」と、親切に言ってくれた。資料室に入ると、威勢よく上原がスタッフに声をかけた。

「とりあえず、各自辞書をもってリンという漢字が書かれたページを調べて下さい。リンさんはそこで眺めていて下さいね。」諸田婦長が車椅子からリンさんを隅に置かれた椅子に案内した。

「何か映画に出てくる証拠探しのシーンみたいですね。」と辞書をめくりながら木暮氏が嬉しそうに話した。ひたすら辞書を開き、ページを繰る作業が数十分続いただろうか、小林氏がつぶやくようにさりげなく上原に言った。「これ落書きですよね。先生見てくれます?」上原が開かれたページをのぞき込んだ。リンという漢字が並ぶページの余白に、最初に上原の目に飛び込んだ文字を見て、上原が叫んだ。

「これが真一さんの落書きだ!」上原が読んだ最初の文字は「リン:新潟県生まれの女性」と書かれていた。

「リンさん来て!真一さんの落書きですよ!」大急ぎで、テーブルに置かれた辞書の前に椅子を寄せ、常木氏が抱えるようにリンさんを坐らせた。「リンさん、この文字に見憶えがありますか?」と上原がたずねると、リンさんさり気なく「眼鏡がないのでよく見えません。」と笑った。「順番に読んでいきますから、よく聞いてくださいね。」一同固唾をのむように辞書に目をやったが、リンさんの表情は淡々としたものであった。

「リン:新潟県生まれの女性。現在は群馬県在住。時々意味の分からない新潟弁あり。いとおしい人。ずっと一緒にいたい人。ずっと愛し続けるに違いない人。また会えるかも知れない人。」ページの余白には、小さな文字でそう書かれていた。背後に上原の声を聞きながら、リンさんは、今現在真一が自分に語りかけているような錯覚を覚えた。心の中で何かが反響するように打ち震えた。文字を追う上原は、両膝の上にさり気なく両手を組みあわせ、小首を少し右に傾けてリラックスしたリンさんの横顔を見ながら、祖国日本を守る為、否、日本にいるリンさんを守る為、遠い島で散っていった男の事を考えていた。彼の魂のかけらが上原の心を打ち、上原はリンさんを可憐でたまらなくいとおしく感じた。背後から思はず抱きしめようとする衝動に襲われた。その時同時にリンさんは、恋する人に包み込まれるようなやすらぎを感じた。

「また会えるかもしれない人」という言葉の塊が、思いもよらないサプライズを演出したのである。

 

 

院長先生の健康豆知識

 関西弁シリーズ(2)  尿酸についての一断面

 

 

 患者:先生『ビールを飲んで痛風を治す!』という本が出とるけど、ほんまでっか?痛風の発作抑えるためビール控えとったんやけど飲んでもええんですか?

 医者:私もその本は読んだけど内容のないひどい本やね。

 患者:えらい気取ってかっこつけた言い方しとるね、先生。そやかて先生、あんたと違うて、大学の教授で、代謝病の専門家で、何やぎょうさん肩書き付いてはるで。

 医者:まあそうやね、そやけどね、最近の風潮は何でも言うたもん勝ち、受けたもん勝ちいう事や。昔は本当に勉強しとった偉い教授がいて、そういう人が睨みをきかしとったさかい、へたな事は恥ずかしいて言えへんかったけど、最近はそんな偉い人がおらんから、自分が何も知らんいう事を知らんさかい、何でも後先考えず本出しよるねん。品のない話やで。

 患者:えらそうに。ほなら先生、どこが問題か説明してえな。

 医者:そやね。書いてる内容は、ほとんど尿酸や痛風の教科書に載ってるもんとおんなじやで。それに自分の痛風体験とビールを飲んできた経過を重ねてるだけやねん。二十年前痛風の発作が起き、痛風に悪いとされるビールで発作を抑えたんや。その後ビールをずっと毎晩三リットル飲んできたけど、痛風発作は起きへんかったから、「ビールを飲んだらあかんというのは疑問や。ビールの水で尿酸を流し出したら、尿酸も貯まらんし、発作も起きへん」という、私の理屈はどうや、いう訳や。

 患者:先生、ワイもビール好きやけど、毎晩ビール三リットル飲むなんて、ワイ、ようできへんで。お腹タップン、タップンになってしまうで。

 医者:そうやろ。毎晩三リットルのビール飲んで発作起きへんかったから、ビールで痛風治すんやなんて無茶苦茶やで。そやけど、教授の看板掲げとるさかい、一応の理屈はある訳や。尿酸のもとになるプリン体いうのは、内臓の「もつ」なんかにぎょうさんあるんやけど、そんなんに比べたら、ビールのプリン体なんか、なんぼ飲んでも大した事ない。ビール飲んで痛風になるのはビールのせいやない、つまみのせいやいう訳や。しかし、尿酸というのは、今流行のメタボリックの一因に挙げられ、それらが密接にからみあっていると言われるけど、書いてる人の体重や、血圧、血糖、脂質などの情報が何も書いてないいうのは、どうしようもないで。この人ほんまに尿酸の事勉強したんかと思うてまうねん。

 患者:先生、あんまり人の揚げ足とるような言い方は、品がないで。

 医者:よう分かっとるわ。そやから、これからちょっとこの本に欠けとる品のある話をするねん。ちょっと聞くけど、あんな、人間の身体って、必要なものは持っておくけど、必要ないもんは捨てると思うか?それとも必要のうても持ってると思うか?

 患者:言うてる事、よう分からんわ。

 医者:例えば塩や。

 患者:塩は動物に必要なもんでっしゃろ。象が塩を求めて何キロも歩いていくのをテレビで見たし、鳥かて創春館で塩なめとるもんね。

 医者:それでとりすぎるとどないなるねん。

 患者:それ、よう知ってるで。塩とりすぎると、身体に水が貯まって血圧高うなるんや。

 医者:そうやろ、じゃあ、砂糖は、脂は、と、メタボリックの原因になるもん考えていったら、みんな必要なもんやけど、今はそれをとりすぎてるから病気になっとる訳やろ。

 患者:尿酸もそれやいう訳か!

 医者:どうや、尿酸いうたら痛風の事ばっかりで、あんまりそんな事言う人おれへんやろ。メタボリック考えていった時、自然に出てくる疑問とちゃうか。利尿剤使うと尿酸が上がるなんていうのは、何んか塩と同じ様な役割を尿酸がしてるような気がするで。それに、尿酸が低い人に、アルツハイマーやパーキンソンの人が多いいう報告もあるんや。

 患者:ほなら先生、糖尿なんかと同じように、尿酸だけ高うても注意せなあかんいう事か?

 医者:えらい物分かりええな。なかなかそこに気付いてる人少ないけどな、まだそこんとこはよう分っとらへんけど、そのへんの所を深く掘り下げてる本が、品のあるええ本やと思うけどな。

 患者:ほなら先生、糖尿やコレステロールの高い人に、結局やせたらええっちゅうこっちゃと先生いつも言うてるけど、尿酸を下げる薬も色々あるけど、結局尿酸もやせたらええっちゅう事ですか?

 医者:今日は物分りええな。どないしてん。ほやけどあんた全然やせへんで。

 患者:先生、やせるっちゅうのは大変でっせ。ええやせる薬何か出してえな。

 医者:自分の為、家族の為なんやからがんばらな。

 患者:みんなが頑張ったら医者いらんようになって、先生生活困るで。

 医者:そんな心配して貰わんでもええから、がんばってや。

 

今月の行事予定

☆GHしらさぎ☆

13日 お花見御膳

下旬 おやつ作り

 

☆あかしあの里Ⅰ☆

 3日 お花見ドライブ

10日 散歩日

17日 寿司パーティー

 

☆涼風の家☆

12日 介護相談員 来所予定

日時未定 おやつ作り

     お花見散歩

 

☆GHゆめさき☆

 7日 外出

16日 掃除の日

25日 外出

27日 お誕生日会

 

☆星辰の家☆

初旬 お花見ツアー

中旬以降 お誕生日会外食ツアー

 

☆明月☆

お誕生日会

年度始会

 (赤飯等食事会と新入職員紹介)

桜見ドライブ

 (船尾滝、渋川総合公園、榛名湖)

 

☆あかしあの里Ⅱ☆

 4、5日 お花見ドライブ外食

作品、春の花種まき

 

☆療養棟二階☆

10日 おやつ作り

11日 買い物ツアー

24日 お誕生日会

 

☆わきあいあい☆

12日 お誕生日会

15~20日 お花見ドライブ

23日 パンバイキング

 

☆あかしあの里Ⅲ☆

 3日 お花見ドライブ

16日 手作りおやつ

日程未定 外食

 

☆療養棟三階☆

10日 2、3階合同おやつ作り

    (炭酸饅頭)

11日 買い物ツアー

14日 お茶会

25日 お誕生日会

 

☆DSゆめさき☆

 1~6日 お花見ドライブ

 8~12日 作品作り

13、18日 お誕生日会

15~17日 おやつ作り

20日 田口町寿会慰問

24日 久保さんカラオケショー

25~27日 映画上映会

 

☆通所リハビリ☆

 1~6日 お花見ドライブ

 9日 水野先生のハーモニカ教室

13日 車椅子ダンス発表会

15、16、18日 お誕生日会

19日 前橋アコーディオンサークル

20日 ひまわり楽団

25日 光友会

 

☆朱咲の家☆

 1~7日 花見ドライブ

 9、19日 お誕生日会

下旬 すいとん作り

 

☆春らんらん☆

15日 おいなりさん作り

21日 桜もち作り

 

文芸作品

フキ味噌の ほろにがさをば かみしめる

肩こりを ゆっくりほぐす 日向ぼっこ                 

           菅野 邦夫様

 

かげろうの はざ間に見えし 野の花に

    かわずも負けず 田畑いざわし

 

海に山 梅に桜に みんな春

     手前弁当 酒とむしろと

           高橋 三佐男様

 

一人居も 長きに渡れば テレビに話す

 

寒き冬 思うに休眠打破と 桜咲く 

           今井 ミチエ様

 

亡き母の 卒寿の座布団 出してくれば

     介護努めし 妻に座らす

 

「父」という 文字を使って みたくなり

  娘へメールに 「父より」と打つ

 

軽四の バックミラーに 小鳥来て

    首を振りふり 糞をしにけり

           影山 えいじ様

 

春らんまん 匂いを添えて 花一輪

   公園のトンネル出れば 春満開

 

老いらくを 感じながらも

       この瞬間 春らんまん

           藤林 秀夫様

 

人生に しょぼくれている 自分でも    ここに来るのが 生きがいとなり

           石田 マツ様

 

雲少し あれど三月 らしき空

 

強すぎて 避けきれざりし  雲間より

       漏れたる日差し 春の彩

           増田 静江様

 

編集後記

 今月号はいかがでしたでしょうか。季節は春本番を迎えました。春は門出の季節であり、出会いの季節でもあります。皆様もたくさんの出会いがあるかと、ワクワクされていると思います。しかし、気温の変化に体調を崩しやすい季節でもありますので、体に十分気をつけていただきたいと思います。これからも皆さんに楽しんでいただける記事を掲載して行きたいと思います。

          広報委員 町田 信代