平成24年6月号

さんぽみち 6月号もくじ

・しらさぎ4周年!
・今月の事業所便り
・吾輩はジータである
・院長先生の健康豆知識
・行事予定
・文芸作品
・編集後記

 

しらさぎ良いとこ一度はおいで!

4周年を迎える事が出来ました。

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グループホームしらさぎは、平成20年6月1日、前橋市小坂子町にしらさぎ城を築いて、早4年が経過し5年目を迎える事が出来ました。これも一重に、地域の皆様、そして利用されている利用者様、ならびにご家族の皆様のご理解と協力の賜物と、職員一同心から感謝すると共に、御礼を申し上げます。しらさぎは、グループホーム(一ユニット)でスタートしました。地域密着型、なじみの関係作りそして、利用者様が安心・安全のもと日々生活が送れる様に頑張って参りました。時には、法人、各事業所の方々にお力添えを頂く日々も有りました。この場をお借りして、御礼を申し上げます。五年目の節目を期に、しらさぎの特徴作りに職員一同努力、精進して参ります。皆様に愛されるしらさぎでありますよう、今後もご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

グループホームしらさぎ 管理者 橋爪 由則

 

グループホームしらさぎは、前橋市を一望できる絶好のロケーションで、現在男性1名、女性8名の計9名の利用者様が生活されています。職員が毎日工夫をして、美味しい手作り料理を召し上がっていただいているためか、皆さん元気で、なかなか体重が減りません(笑)。そんな利用者様をお世話させていただいている職員からのメッセージを紹介させていただきます。

しらさぎの理念である、『ゆったり、ゆっくり、のんびりと』を合言葉に利用者様にとって居心地の良い場所を提供し、そして毎日を楽しく笑顔で過ごしていただけるように、これからも精いっぱい頑張っていきたいと思います。

木島 マサ子

職員一同笑顔で利用者様と過ごしています。これからも穏やかに毎日を過ごしていただけるよう、頑張っていきたいと思っています。

高橋 葉子

毎日利用者様と職員で美味しい食事をお腹いっぱい食べて、楽しく笑顔の絶えない生活を送っています。これからも楽しいイベント等に利用者様が元気で楽しく参加できるよう援助させて頂きたいと思います。また、素直な気持ちで他の職員と共によい施設にできたらと思います。

小林 千秋

利用者様が安心して暮らしていただけるよう、しらさぎスタッフ一同で盛りたてて、この5年目も明るく楽しく健康に過ごしていきたいです。

柳澤 知恵

利用者様と毎日楽しく過ごしています。これからも明るく安心して生活が送れるように、援助していきたいと思います。

金子 知恵

創春館療養棟から異動になり、療養棟の時にはなかった業務の「調理」に悪戦苦闘しています。少しでも多くの利用者様の笑顔が見られるようにお世話させていただきたいと思います。

板垣 剛

星辰の家から異動して2カ月がたちました。利用者様、スタッフともうちとける事が出来てきたと思っています。最初は不安の種だった「調理」も回数を重ねるごとに慣れてきました。毎日の食事は大切なので、今後も利用者様の召し上がりやすい食事作りや過ごしやすい環境作りなど工夫していきたいと思います。

中野 麻有美

 

毎年恒例のイチゴ狩り

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グループホームしらさぎでは、5月2日に外出行事として例年恒例になっている、赤城町の「原田いちご園」へ、いちご狩りに行ってきました。当日は朝からあいにくの雨模様となってしまったので、利用者の皆様が濡れないようにと雨具を用意したり、細心の注意を払いながらの外出行事でした。いちごハウスへ入ると、真っ赤ないちごを手に取り、ミルクをたっぷりつけて黙々とたくさんのいちごを召し上がっていらっしゃいました。「まだ食べたい人いますか?」と職員が訊ねると、「もっとおくれ。」と返事が返ってくるほどで、みなさん大満足だったようです。また道中では車窓から赤、白、色のチューリップ畑を見つけて「綺麗ね。」と満面の笑みを浮かべながらとても感激されている場面もありました。なかなか外出する機会が少ないため、なるべく季節感を味わっていただくためにも、これからも楽しい外出行事を企画していきたいと思います。

 

今月の事業所便り

あかしあの里Ⅲ
楽しい母の日

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5月13日に母の日のイベントをおこないました。きれいなカーネーションの飾りがついた、メッセージカードを渡して記念撮影をしました。みなさん楽しそうにメッセージを読まれ、とても喜んでくださいました。そのメッセージをお部屋に飾りますとお話しすると、「嬉しいわ。」「きれいだからそうしてくれ。」とみなさん言ってくださいました。3時のおやつには苺のショートケーキをお出しして、楽しい母の日を過ごすことができました。

 

あかしあの里Ⅱ

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あかしあの里Ⅱでは、外食ツアーで「幸楽苑」へ行って来ました。久しぶりの外食だったので、「たまには、ラーメンもいいよね」と喜んでいただけました。食事が終わったあとは、バラ園へ行き、満開の花をみて楽しんでいただきました。来月も楽しんで頂けるよう、行事を考えて行きたいと思います。

 

春らんらん
母の日に手作りクッキー

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5月13日、春らんらんでは、母の日のイベントを開催いたしました。当日は、女性の利用者様へ、お花紙で作った手作りカーネーションを贈ったり、手作りクッキーの片抜きをして楽しみました。皆さんの型を抜いている時の表情が豊かでとても素敵でした。素朴なクッキーでしたが味の方もなかなか好評でした。これからも、楽しんで頂ける様なイベントを企画していきたいと思います。

 

涼風の家
セブンイレブンでお買いもの?

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涼風では、23日にセブンイレブンの移動販売車が来て下さいました。利用者の皆さまは、普段買い物をする機会が少ないため、たくさんの商品を見て喜んでいらっしゃいました。中には目の色を変えて、あれやこれやと自分の食べたいものを真剣に選んでいる利用者様もいて、買い物をすることが素晴らしいものだと実感させられました。利用者の皆さまは、また移動販売車が来るのを楽しみにしているようでした。

 

DSゆめさき
つつじドライブ

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5月7~9日と三夜沢・赤城神社のつつじを見に出かけてきました。今年は桜を見にいくことが出来なかったため、久しぶりのドライブとなりました。今年のつつじは例年より少し遅れているようでしたが、3日間とも良い天気に恵まれ利用者様には大変喜んでいただけました。車内ではお気に入りの歌を唄ったり車窓から景色に季節を感じていらっしゃいました。つつじの中でのお茶はとても美味しく、あっという間に時間は過ぎてしまいました。「また来年もつつじを見に見に来ようね」と赤城神社を後にしました。

 

あかしあの里Ⅰ
ケーキは別腹です

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5月31日に回転寿司「スシロー」と前橋市内のドライブへ出かけてきました。店内のカウンター席に入居者様の方々が座ると流れてくるお寿司にもう目が釘付け。早速「マグロが食べたいね」「数の子がいい」と好きなネタを希望される声が聞かれ、手元にお寿司が並ぶと無心で食べておられました。多く食べた方では8皿召し上がられた方もおり、最後には全員の方がアイスクリームやケーキは別腹といわんばかりに食べて大満足な様子でした。午後は敷島公園周辺をドライブしましたが、車内ではお寿司の話題でもちきり。今後も皆様に喜んで頂ける外食ツアーを企画して出掛けて行きたいと思います。 

 

ケアセンター朱咲
吉岡町まで鯉のぼり見学ツアー

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桜の季節も終わり、新緑の木々が芽吹き始めた5月上旬、ある新聞に『吉岡町役場の川沿いにたくさんの鯉のぼりを飾っております。』という記事が載っておりました。それを読んだある利用者様が「ここに行きたいなぁ~」とおっしゃったことから、鯉のぼりを見るためドライブに出掛けることになりました。行ってみると吉岡川に沿ってたくさんの大きな鯉のぼりがあり、風にたなびく中を皆で散歩しました。皆様「すごいね!大きくて立派だね!!」と口々に話されながら大変ご満悦な様子で有意義な時間を過ごすことが出来ました。

 

通所リハビリ
カーネーションと肩たたき

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5月14日に、一日遅れの「母の日お祝い会」を行いました。創春館通所リハビリに通われている『お母さま』方に、日頃の感謝の気持を込めてお祝いさせて頂きました。当日は、29名の女性利用者様が来館されました。『母』にちなんで、思い出話しをしたり歌を歌った後、利用者様にも手伝って頂き、おやつ作りをしました。今回のおやつは、『抹茶どら焼き』でした。ホットケーキミックスに抹茶の粉を混ぜた生地を焼き、あんこを挟みました。大きさは様々でしたが、アジのある出来栄えで、焼きあがるたびに歓声が上がり、デイルームはあま~い香りに包まれていきました。試食が待ちきれずに、焼きたてのどら焼きに手を伸ばす利用者様がおられるかと思えば、なんと「売っているものよりも美味しいよ。」と高い評価をして下さった方もいらっしゃいました。その後、職員から、お花紙で作ったカーネーションと、肩たたきをプレゼントさせて頂きました。「ありがとう。」「ああいい気持ち。」「その気持が嬉しいよ。」と、とても喜んで下さいました。女性の利用者様だけでなく、男性の利用者様にも喜んでいただき、とても和やかに「母の日お祝い会」を終えることが出来ました。

 

GHゆめさき
ウォータースライダーにも乗りました

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GHゆめさきでは、5月27日、家族会小旅行で華蔵寺公園へ行ってきました。当日は天気がとても良く良い旅行日和となりました。皆様のご協力で、予定より少し早く出発する事ができ、早く到着する事ができました。日曜日という事もあり、混雑してましたが、先に出発したスタッフと入居者様が席を確保してくれていたため、スムーズに席に付く事が出来ました。皆で「ゆめさきぽかぽか弁当」を食べ、ご家族との自由散策です。車内で「私は、いいわ」と言われていた方も、観覧車やミニ電車に乗られ、ジェットコースターやウォータースライダーに乗られた入居者様もいらっしゃいました。また、アイスやかき氷を食べ、帰りには「楽しかったね」「また来たいね」という声が多く聞かれました。今後も楽しんで頂ける企画を色々考えていきたいと思います。

 

クリニック通所リハビリ
できました!刺繍糸の絵 チューリップとビオラ

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クリニック通所リハビリからは、ちょっと変わった手芸の作品を紹介させて頂きます。この作品は、題名の通り全て刺繍糸でできています。こちらの作品の作り方は、糊の付いたボードに決められた色の刺繍糸を貼り、巻き付けて完成させます。作業はとても細かく根気との勝負で、気が遠くなってしまいそうになります。(作業を見た男性スタッフが細かすぎて倒れてしまったとか!?)今回の作品は、右半身が不自由な方が左手を器用に使い見事に完成させました。現在、この方はさらに細かい作品に挑戦中です。この作品も仕上がり次第皆様に紹介したいと思います。次回の作品も楽しみにしていて下さいね。

 

療養棟3階
彩り鮮やか五目いなり

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療養棟3階では5月24日に「五目いなり寿司」を作りました。ご飯に、寿司酢・錦糸玉子・しいたけ・人参・ひじきを混ぜ合わせ、味付きの油揚げに詰め、紅しゅうがを飾りました。利用者の方々は、手慣れた手つきでご飯を丸めたり、油揚げにご飯を詰めて下さりました。作る過程で、「ご飯が大きいかね」「色どりがキレイだね」など、会話が弾みました。また、試食の際には、「味付けがいいよ」「いっぱい食べちゃった」など多くの声を頂きました。なかには、「夕飯がいらない様だよ」と言うほど、召し上がった方もいらっしゃいました。

 

療養棟2階
今度はホストがおもてなし?

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療養棟2階では、16日に母の日の催しを行ないました。父の日ではホステスに扮してサービスをしているので、母の日にはホストに扮して女性を中心にもてなす事に努めてみました。各ホストの源氏名とセールスポイントをしっかりアピールして、多くの方々から指名とおひねりを受けることが出来ました。ソフトドリンクを使ったカクテルを用意しておおいに盛り上がり、楽しいひと時を過ごすことが出来ました。6月には父の日で変わったホステスが多数訪れる予定となっていますので、興味が有る方は療養棟2階にお越し下さい。 

 

わきあいあい
けやきウォークでお食事を

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デイサービスわきあいあいでは5月17日に外食イベントとして、前橋けやきウォークに出掛けました。大型ショッピングセンターの人の多さに利用者様も驚かれていました。フードコートにてさぬきうどんやてんぷら、ラーメンなど、各自お好きなものを注文されていました。ショッピングの雰囲気を味わった後、帰りは敷島公園周辺をドライブしながら帰ってまいりました。車窓からでしたがバラをみる事ができ、お腹も視覚もみたすことが出来ました。これからも季節に合わせたイベントを企画してまいりますのでお楽しみに。

 

明月
季節外れの餅つき大会

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「年に2度もお餅が食べられるなんて…」、明月では、17日にDSとGH合同で季節外れの餅つき大会を行いました。利用者様からのリクエストもあり、実現した今回の企画。ある方は東京音頭を歌いながら、またある方は杵を重いと言われながらも、皆さん思い思いの方法で楽しまれていました。ご馳走様でした!また、5月13日には母の日のイベントを行いました。プレゼントの袋を握り締め、母の日カードを読んだ時の皆さんの表情を見て、これからも楽しい&嬉しい行事をして行きたいと思いました。

来月もお楽しみに!

 

星辰の家
心のこもったメッセージ

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ケアセンター星辰の家では、5月14日に母の日にちなんで感謝の気持ちを伝えるメッセージカード作りをしました。スタッフから女性利用者様へカードを送ると、「涙が出てくるよ」と何度も読み上げてくださる方もいらっしゃいました。そして、利用者様からは、家で待つご家族へ日頃言葉にできない感謝の気持ちをカードに綴っていただきました。「娘がきっと喜ぶね!」「次女に書くなら長女にも書かなきゃ」と張り切る方々、奥様へのカードに一文字一文字丁寧にサインする方、お迎えのご主人に照れながらそっとカードを手渡す方々・・・たくさんのラブレターを届けるお手伝いをさせていただき、「ありがとう」の大切さを教えていただいた一日となりました。

 

吾輩はジータである そしてまた貴方に恋している

東郷 彦四郎

第17章「甲子園への道(第1章)」

東京農大二高野球部にとって、夏の甲子園は遠い存在だった。一九六五年、六七年には二度にわたって、栃木県代表鹿沼農商と北関東大会決勝で戦い、無念の涙を飲んだ。また一県一校となった一九七九年の群馬県大会では、決勝で前橋工業と当たり、やっぱり敗れさった。

敗戦に打ちひしがれ、「おばさん、駄目でした。」と、しょんぼり肩を落としながら寮に帰ってくる部員達の姿は、リンさん自身の姿でもあった。

正月休みを除くほぼ毎日、朝は六時に起き、七時からの朝練、夜は九時迄というハードな練習をこなし、夏には、倒れ込むように、ぐったりとした濡れ雑巾の様な姿で帰り、夕食を食べる元気もなく、リンさんが特別に作ったおかゆを流し込むのがやっとだった生徒達、洗っても洗ってもなかなか落ちない泥まみれのユニフォームを毎日持って帰る生徒達、そんな生徒達と共に生活し、世話をしてきたリンさんだけに、甲子園を一途に目指す生徒達の思いは、リンさんの思いともなり、何とか夢をかなえて欲しい、そんな思いを抱きながらの日々だった。

否、それだけの思いではなかった。ふと共に甲子園を目指してきた日々を振り返ると、それは戦争を戦ってきた日々とも重なるものだった。一途に白球を追い、軍隊の様な規律の中で、挨拶や礼儀などを仕込まれていく部員達の姿に、自分の戦時中の若かりし姿をだぶらせ、眺めていたのだった。

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時々、午後になって暇ができると、歩いて十分程の校庭に入り込み、グラウンドを見下ろす土手の上の木々の下に置かれたベンチに座り、整然と、流れるように動く白球と大きなかけ声の合唱と共に躍動する部員達の姿を見ていると、別世界に入り込むような、何とも言えず幸福な気分になった。

そして、沢山の部員達の中で、寮で共に生活する部員達のあどけない顔を追いかけるのも楽しみの一つだった。

最初の頃は次から次へと「チワーッ」と言って帽子を取り、深々と挨拶されるのに、戸惑いと気恥ずかしさを感じていたリンさんだったが、今ではまるで当たり前の様に、微笑みと共に軽くお辞儀で返すようになっていた。

「リンさんが見てるとみんな張り切って練習するんですよ。」とS藤監督にも言われ、嬉しい気分にもなるリンさんだった。

「何やってんだバカ!」「こんな球も捕れんのか!」という監督の鬼のような叱声や罵声も今ではそれ程驚く事もなく、「憎くて言ってるんじゃないの。耐えてね。」といつも心の中でつぶやいていた。

苦しい練習から逃げ出し、野球部を辞め、寮から出ていった部員がいた。また夏の大会のメンバー発表の日の夜、部屋に閉じこもって夕食に出て来ない生徒がいた。

「津久井君どうしたの?夕食よ」と声をかけると、部屋からは嗚咽が聞こえてきた。

「津久井君何かあったの?」とたずねると、同学年の橋爪君がふっと顔をゆがませ、「メンバーから外れたんです。」と、ぽつりとそれだけ言った。

リンさんには、それだけで津久井君や橋爪君の気持が手に取るように分かった。一緒に甲子園を目指し、親元を離れ、苦しい練習を励まし合いながら耐えてきたのに、メンバーに選ばれず、ベンチにも入れず、応援にまわらなければいけない彼の気持がどんなのか、これは一緒に戦ってきた者にしか分からない気持だった。

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こんな事もあった。「おばさん、僕、くやしいです。身体の小さい僕は監督に使って貰えません。こんな身体に生んだ両親を恨みます。」リンさんは母親のように悲しい気持になった。リンさんは、その頃増築した寮に一緒に住んでいたS藤監督にさりげなくたずねた。「監督、野球って身体が小さいと駄目なんですか?」監督は変な事を聞いてくるなと言った風に、「プロ野球選手でも小さい身体で活躍している選手は沢山いますよ。」とだけ答えた。

リンさんはもう嬉しくなり、「監督は、日野は素質があり、体力をつければいい選手になると言っていたわよ。」と告げた。それからの日野は人一倍バットを振り、遂にレギュラーをとった。

またあんな事もあった。リンさんが練習を見ていても、もどかしく感じる程下手だが、楽しそうに練習に参加していた須藤が、徐々に除け者にされていくように感じられる場面があり、寮に帰ってきてもふさぎ込んでいるように見えた。リンさんは夕食が終わり、部員達が部屋に帰った後、真剣な眼差しで監督にたずねた。「監督、生意気言って申し訳ありませんが、高校野球というのは上手な人達が上手にプレーして勝つ。それだけのものなのでしょうか?下手な人が一生懸命下手なプレーをしたらそれは野球ではないのでしょうか?」監督はリンさんの強い口調に驚いた風に、「下手な人が下手なプレーをする?」と聞き返した。

「そう、下手な人でも一生懸命なんです。一生懸命陰日向なく努力している、そんな人を知っています。そういう人でも野球はやってはいけないのでしょうか?」

監督は少し悲しそうに、頑丈な身体をまるめるように、「リンさん、もう言わなくてもお分かりのように私達は甲子園を目指してやっています。これ程甲子園が遠いと、果たして今の練習でいいんだろうかと迷っています。よく考え直してみます。とても気になるご意見です。」とS藤監督は真摯に答えてくれた。リンさんはS藤監督と共に甲子園を目指し、敗れ去りし日々の事が思い浮かんできた。

「監督、負けてくやしかったけれど、楽しい日々でした。みんな厳しい練習に耐え、男の魂が宿るようなそんな監督の指導です。これからもついていきます。頑張って下さい。」と言いながら、心の中で、どんなに負けても、どんなに甲子園という戦いに負けても、あなた達は死ぬ事はない。それは何と素晴らしい事だろうと思った。 

そんな甲子園への月日が流れた一九八五年、リンさんのもとへ、硫黄島協会による慰問団が、戦後四十周年を記念して硫黄島に行くが、リンさんも参加しないかとの連絡が真一の親友石川から届いた。石川は参加の予定だが、ついてはリンさんもどうかとの連絡だった。丁度冬の時期であり、リンさんは寮の賄いを知人の女性に頼み、でかける事になった。

 

院長先生の健康豆知識

「インターネット通信」

「名倉さん、名倉さんの『さんぽみち』毎月インターネットで読んでます。とても勉強になりますよ。五月は心臓の話でしたね。この前、今迄のを全部読み直しました。」

大学以来、テニスを通して長い付き合いのある東京在住の後輩の言葉です。嬉しいような、気恥ずかしいような気持です。彼には大学時代、同じような嬉しい言葉のプレゼントを頂きました。

多分、私が三年で彼が一年の時の夏の合宿の時の事だから、場所は伊香保の油屋旅館だったのでしょうね。色々な事(ここでは言えない夜の出来事など)があった合宿でした。青春そのものの汗を温泉でゆったりと流し、夕食も終って、みんなでくつろいでいる時の事です。大学に入ったばかりで、それ程話をする事もなかった彼が、少年の面影を漂わせつつ「名倉さんの詩、文集に載っているの読みました。感動しました。」と、熱い眼差しで言ってくれたのです。若気の至りという詩で、「好きな人に熱い思いを抱いたら、彼女の家へ行き、玄関の戸をドンドン叩き大好きだと叫んでみよう。」というような内容の詩でした。

今から振り返ると、恋に飢えた青年のくさい臭いがぷんぷん感じられるものですが、それでも、そんな詩をまともに受け止め、とてもいいと言ってくれたものですから、こちらは何とも嬉しいような戸惑いの気持で、「そんなの書いたっけ?」と、とぼけたら、「えーっ、そうなんですか?忘れてるんですか?」と、がっかりしている様子なので、今さら有難うとも言えず、「オイオイ、俺の照れくさい気持を分ってくれよ。」と心の中で叫んでいました。どこかで自分の密かな営みを分ってくれる、そんな人がいると、生きる元気が貰えるような気がします。

「名倉さんが珈琲は身体にいいというお話だったので飲み始めました。それ程好きではなかったんです。でも飲んでみると、同じ豆でも毎回味が違うんですね。」と、言葉が続きました。

「井上君、あの時は軽く聞き流してしまったけど、それは多分、体調による感覚の違いが大きいとは思うけど、温度変化などによる水と珈琲豆が織りなすハーモニーが毎回違っているせいかも知れないね。今、巷では結構水のブームの様で、硬水、軟水、アルカリイオン水、海洋深層水、はてまたセラミック活性水等、色んな水が売られているようだから、そうした水で味や香りがどう変るか試してみるのもおもしろいかも知れないね。

水については、「水の健康学」という本を出している寄生虫の教授がいて、彼によると、動脈硬化の予防には、硬水または海洋深層水を一日コップ五杯、心筋梗塞や脳梗塞の予防には、ミネラルウォーターや硬水、アルカリイオン水を寝る前と起きがけに一~二杯飲めばいいと書いてあるんだ。水は飲めば飲む程健康によく、一日二リットルが理想だと言っているんだが、何ともいやはやという感じだね。そんな水を飲む生活を一年三六五日、死ぬまでやれる人がいるかねっていう話だね。この事についてはもうこの欄に書いた事があるから、よく分っているよね。「健康常識はウソだらけ」という本を書いている免疫の教授に言わせると、楽観的な人は免疫が上がり、脳卒中の発症リスクが下がると強調するんだが、どちらも一面の真理を突いているとは言え、自分の専門分野に強引に引きこみ、論を展開しているように見えるんだ。

あの宴会の時、真木子さんからも相談を受けたんだ。『階段を登る時、動悸がしたので医者に行ったら、心房細動と言われた。脈を遅くし、血圧を下げるという薬なんですけど、私、元々血圧が低く、脈も遅いんです。名倉さんどうしたらいいんでしょう。何か気分も悪い気がするので今は薬は飲んでいませんが、テニスはやっても大丈夫でしょうか。医者は、はっきりやっていいとか悪いとか言ってくれないのですが。』 

心房細動による最も大きなリスクは、血栓(血の塊)ができそれが脳の血管を塞ぐ事です。発作性心房細動とは、心臓の収縮の引き金となる心房の興奮が、無秩序にふるえるように早くなる病気で、老化と共に増えてくる病気でもあります。したがって、血栓を予防する事が大切になりますが動脈硬化などの危険因子が少ない人は、治療の必要なしといわれていますし、適度の運動は血栓予防に有効と言われています。還暦になったとはいえ、あんなにスリムで、若々しく、高血圧や糖尿病などとても無縁の真木子さんがかかる病気としては早すぎる気がしますが、隠れた心労があるのかも知れません。テニスをする事は勿論問題ありませんし、むしろ積極的に楽しんだ方がいいでしょう。薬は発作が起きた時だけ対処すればいいし、常時飲んでおく必要はない旨話しました。

こうした事が言えるのも、テニスを通しての長いお付き合いがあるからの事だという気がします。病気を診ず、人を診よという言葉がありますが、心房細動などは、まさにそれが当てはまる病気のような気がします。テニスという生涯スポーツと、それを通してめぐりあえた友人達をいつまでも大切にしながら、これからも頑張っていきましょう。

 

今月の行事予定

☆あかしあの里Ⅱ☆
 4日 お誕生日会
未定 紫陽花見学

 

☆GHしらさぎ☆
15日 買い物ツアー(SMARK )
下旬 おやつ作り

 

☆DSゆめさき☆
 4、5日 あじさいドライブ
 6日 ブッチーライブ
 8日 滝卓也ショー
11~13日 おやつ作り
14日 軽スポーツクラブ
18日 父の日のお祝い
20日 フラサークル リノ
20、21日 上映会
23日 久保のぶゆきショー
26日 民謡連盟

 

☆あかしあの里Ⅰ☆
10、16日 お誕生日会
下旬 あじさいドライブ

 

☆春らんらん☆
 3日 いちご狩り
17日 父の日イベント バラ園

 

☆通所リハビリ☆
 9日 アロハエンジェルス
13日 南橘フォークダンス
16日 父の日のお祝い
21、23日 お誕生日会
28日 アンサンブルそよ風
30日 ママさん音楽隊

 

☆朱咲の家☆
 4~8日 バラ園ドライブ
10日 おやつ作り(すずカステラ)
18~22日 あじさいドライブ

 

☆GHゆめさき☆
 8日 外出、外食
17日 父の日
29日 外出

 

☆明月☆
中旬頃予定 父の日イベント
      お誕生日会
      ドライブ

 

☆療養棟三階☆
14日 買い物ツアー
21日 おやつ作り&父の日
28日 お誕生日会

 

☆あかしあの里Ⅲ☆
 4日 紙芝居
12日 手作りおやつ(ドーナツ)
13日 お誕生日会
日程未定 外食

 

☆わきあいあい☆
 5日 パンバイキング
15日 すしバイキング
21~23日 あじさいドライブ

 

☆療養棟二階☆
13日 父の日イベント
14日 買い物ツアー
20日 おやつ作り
27日 ものまね歌合戦

 

☆涼風の家☆
未定 おやつ作り
  バーベキュー

 

☆星辰の家☆
 7日 お誕生日会
中~下旬
あじさいドライブツアー

 

文芸作品

 さつきの空 こいは泳げり

      羽ばたきながら 我が物顔に 喜び勇む

原田 カズヱ様

 

編集後記

今月のさんぽみちはいかがでしたか?

新年度になり、広報委員会も新しくなったので、スタッフ一同新たな気持ちで頑張って行きたいと思います。そして6月も利用者様に喜んでいただき、思い出として残るようなイベントを企画していきたいと思います。また、季節の変わり目は体調を崩しやすくなっていますので、体調管理には十分気をつけ、元気にお過ごし下さい。これからも、ご愛読の皆様に楽しんで読んでいただけるような、さんぽみち作りをして行きたいと思います。

広報委員会  阿部 裕美